豆腐小僧の随筆

気ままに書くよ

染まるよ チャットモンチー

 

タバコを吸ってたあの人が忘れられない

タバコも吸わない、男遊びもしない、そうやって真面目に生きてきた私とは真逆のあなたが、とても好きだった。

遊ばれてもいいくらいに大好きだったのに、遊ぶことすらしてくれない。

私より好きなタバコが憎らしい。

本当は、わかりたかった、そばにいたかった、満たしたかった、愛してほしかった

 

まだそばにいたら、なにか変わったかな。

何も変わらないことは本当は知ってるのに、でも、そう望んでしまう。

一緒にいるのがつらかったけど、もう、何も交差しないこともとてもつらくて、

後味の悪い最後で、最後まで、私はあなたの傷にすらなれなくて、

忘れないで、嫌わないで、とずっとすがってしまうのに、あなたにとっては、煙みたいに消えてしまう存在にしかなれなかった。

 

夜があけるかわからない。

あなたに受け入れられなかった自分は、全部いらない。

 

夜が明けるなら、朝焼けに染まるなら、次こそ、幸せになりたい。

感想文:「私の命はあなたの命より軽い」 著:近藤史恵 出版:講談社

タイトルとあらすじにひかれて読みました。

ネタバレになるかもしれないです。

 

主人公の疎外感と困惑を一緒に感じられて、今まで信じていたことに少しずつほころびが生じていく過程を味わえた。

タイトルが内容をしっかり表現していて、気持ちよかった。

親から子供へ、子供から親へ、姉から妹へ、妹から姉へ、それぞれの関わり方、思いがリアル。親の子供への思いがときに子供を強く縛り付けることになること、姉妹間だからこその距離感で接することができること、が身に覚えありすぎる。

家族に違和感感じまくりの私には読み進めるのは少しきつい部分もあったかな。

妹って結局親がだめなら姉に頼れるって安心感があるけど、姉って正直誰にも頼れないからしんどい。小さい時から、姉の立場は頼るんじゃなくて頼られる存在でなければならないって刷り込まれてるから、今更もう、家族に頼れない。

そのくせ、私にはこれもあれもしてくれなかった、って言ってこられたら、もう、悲しくなる。私はいったい誰を頼って生きていけばいいんだろう。

私の命は他の子どもよりも親の中では軽いんだろうなって思うときが、幼い時からあったよ。今も、変わらず。親がひどい人だとか、そういう訳ではないし、愛してくれたし助けてくれたけど、でも、私は許されないことを他の子どもが許されているたびに、私にしてくれなかったことを他の子どもがされているのを見るたびに、自分が優先順位の低い存在なんだと傷ついた。

 

この話の両親、臭くなる直前には放置して、臭くして、主人公がなんとか回収しようと動き出したら「俺たちは親だ。心配だ」って、は?って感じ。それなら、問題放置してないで早く動けよ。自分たちの子供の問題を、他の子供に押し付けんな。そのくせ押し付けてることにも気が付かずに、こちらがなんとかしようとしたら「口出しするな」ってもう呆れるしかない。じゃあ、被害者づらすんな。お前らは加害者だよ。

 

命の軽さも重さも知らないけど、でも、昔、大好きな漫画の作者さんが、「命の重さはわからないけど、それがこの世界で1つしか与えられてないことは知っている」というようなコメントを書いてて、それが全てかな、って私は思う。

1つしかなくて、しかも他人の命は自分の命ではないから、奪ったり奪われたりすることがタブーなんだと、私は思ってる。

 

私は、正直、主人公の妹さんは恵まれてると思うよ。

好きになった人が好きになってくれて、子供までできて。

でも、それが全ての始まりで、その後に起こったことは絶望ばかりだし耐えがたい苦痛ばかりだけど、それでも最後まで助けてくれた主人公がいるじゃん。

そして立ち上がれる強さも頭脳も、素敵な容姿も持ち合わせてる。

幸せになると決まってる人だよ。

これで主人公を逆恨みしてたら、この妹さんの人間性疑うし、主人公が気の毒すぎる。

最後は胸糞悪かった。

 

家族だからって安全基地になるとは限らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

曲名:幸せ 歌手名:中島みゆき

この曲も、とても好きです。

 

初めて聞いたとき、中島みゆきさんの歌声じゃなくて、いい曲だなって探したら、他歌手に提供していた曲だったのを知った。

でも、中島みゆきさんの歌声で何度も聞いている。

 

幸せになりたくて手を伸ばしたのに、それが叶わなくて、ずっと泣いている毎日。

この曲は、バラードというわけではなくて、でも、それが逆に哀しく聴こえる。

自分の幸せのために決断したけど、でも、笑いたいけどうまく笑えない、泣きたいけどうまく泣けない。割り切りたいのに、決意と留意がぐるぐる回っててて、割り切れない。

幸せになるには、どうしたらいい?って、自分のために何度も確認している。

 

この曲は、幸せになる方法を2つ教えてくれる。

一つは、願いが叶うこと。

でも、それが叶わないことを知っている場合は、どうしたらいい?

もう一つは、願いを捨てること。

願いを叶えることより、捨てることのほうが難しい。

だから、どちらの方法も贅沢。

 

最近、叶えたい願いが絶対に叶わないことを知ってすごく苦しい。

叶わないなら、願わないことが幸せだったのに。って。

でも、この曲をたまたま知って、「願いを捨てる」ことも自分が幸せになる道の1つなんだって思えて、ちょっと安心した。

それに、最近、ある動画で「形にならなくても、心の中のきれいな思い出として残してもいいんじゃないかな。」という言葉を聞いて、この曲も相まって、夢を見てたことを幸せと呼んでいいなら、捨ててしまっても、、この夢という名の願いが全部なくなるわけではなくて哀しいけど綺麗ものとして残る。それも幸せだと自分が思えたらいいんだよな、って思えたんだよね。

まだ捨てきれない願いがヘドロとしてこびりついてて、でも、きっと捨てられる。

この曲も幸せになりたい、せつない、と諦めたように、でも、強く、ずっと言ってるから。

ヘドロから咲く蓮の花がきれいだと皆知ってるから。

この曲の心情が、今の状況に当てはまるから、この曲を今のタイミングで知れたのは本当に良かった。絶対幸せになる、なれるよ。

 

曲名:誕生 歌手名:中島みゆき

中島みゆきさんは、母の影響で好きです。

でも、実はあまり曲は知らなくて、誰でも知っているものしか知らなかった。

この曲を知ったのも、最近。

 

生きる上での苦しみはたくさん味わってきたし、乗り越えてきた。そのうえで、今まで、自分は一人でも生きていけるし、そうでないといけないと思っていた。

出会う人がいい人ばかりだから苦しい時には助けてくれる。でも、友人らにずっと助けてもらうことは申し訳ないし、結局立ち上がるときは自分が力を入れないといけない。甘え続けることも、ましてや、自分の人生の問題に巻き込むことなんてできない。

親すら、私を1番たくさん愛してくれたわけじゃない。子どもを平等に愛する人だし、手のかかるやつに時間を与えないといけない。私だけを見てくれる、この人なら寄り添い続けてくれると思える特別な存在は、私には、与えられない人生だからと割り切って、一人でも楽しくたくましく生きていけるように準備をたくさんして、それができていたのに。

一人は気楽で、生きやすいと思い込むことができていたのに。

夜に「今、私は世界でたった一人なんだ」と孤独感が襲ってきても涙がでてきても、『大丈夫、私なら大丈夫。今までだって、たくさんの苦しい孤独な夜を乗り越えてきた。私なら大丈夫。』と自分に言い聞かせて、何とか自分をなだめてこれていたのに。

 

でも、とある出来事が心をじくじくと痛め続けている。今までとは違う、初めての痛みと苦しみを味わって、一人で生きていくことに限界を感じた。人生に躓いてしまった。自分に絶望した。今までの自分から変わってしまうから。

 

そんな状態の時に、この曲に出会ったのは、幸運だった。

 

この曲の一番は、まさに私のことだった。

どんなに苦しくても、悲しくても、生きてることに絶望しながらも、一人で生きていけると思っていたけど、本当は全部強がりで、重大なことには身体も心も全部使って立ち向かえるけど、些細なことには簡単に簡単に躓いてしまう。

躓いたら、泣いて、泣いて、さみしくて、苦しくて、たまらない。

こんなものにすら躓くのかと、たまらない気持ちでいっぱいになる。

でも、本当はこんなものじゃないから躓いていて、涙が止まらなくて、一人で生きることが自分の望むことではないのだと、一人で頑張るのは、もう、疲れた。

本当は、誰かと生きる人生にあこがれている。

誰かとなら、人生は今よりもっと生きやすいかもしれない。

そう思うために味わっている苦しみなら、むなしくもなくて無駄でもなかったと信じたい。

 

生きることが苦しくて一人で泣いてきたけど、涙がでるのは生きるためだったのね。

誰かの隣で泣きたい。泣き止むまで、離れずに、なにも言わずに、涙をみてないふりして、何もしなくていいから隣にいてほしい。そしたら、私は立ち上がれるから。一緒に前を向けるから。

この曲は、今までの私もこれからの私も全部肯定してくれる。

 

生まれてきてありがとう、よりも、「産まれてくれてwelcome」って息がしやすい気がする。ありがとう、は、こんな自分になぜそう思うの?って思うけど、ようこそ、は、生きることを受け入れてくれる気がする。

 

たくさん愛をもらって生きていることを忘れそうになるから、一人で生きそうになるから、一人で生きてきたのだと思いそうになるから、そんな時は耳を澄ませて、この曲を聴きたい。

 

 

 

 

 

感想文:「ツナグ」「ツナグ 想い人の心得」 著:辻村深月 出版:新潮社

久しぶりにツナグが読みたくなって、続編含めて読みました。

これは、映画化されていたけど、内容はほぼ変わらずでキャストも演技派でピッタリで、今尚読みながら、樹木希林と松山桃李がずっと頭の中で演じてくれました(笑)

 

1作目は、「亡くなった人に会いたい」気持ちが強く出ていたけれど、2作目は「自分が亡くなったときに会いたいと強く思ってくれる人はいるのか」が強く出ているような気がした。

主人公も大人になって、時間はしっかりと経過していて、それでも亡くなった人は亡くなったときの姿で現れて、そこに「生きている人」と「死んでいる人」とのはっきりとした違いがでているのではないかな。

 

亡くなった人の人生になにか価値を見出そうとすることや、前に進む力をもらおうとすることは、生きているひとのエゴなのかもしれない。

この作品でも、亡くなった人には会いたい人を指定することもできない。自分が生きた形が存在する最後は、たった一回だけで、それを誰と過ごしたいかは、自分では待ち続けるしかないのだ。

でも、生きている人は誰に会いたいかを指定することができる。誰と過ごしたいのか、を自分で選択することができる。

 

もしかすると、作者はこれが伝えたのかもしれない。

生きる中で選択できることは多くある。誰に会いたいか、一緒にどこに行きたいか、どのような会話をして、どんな表情を見せたいか。

大切な人に何をしていきたいか、を常々考えて行動することが、大切な人を失ったとき、もしくは、自分がいなくなったとき、残されたものの支えになるかもしれない。

それがきっと、2作目に登場する人物のように、もし「後悔」があっても、一緒に過ごしたからこそ「生」と「死」で別れてもなお感じ取れる部分で会話をして自分の人生を歩んでいける鍵になるのではないだろうか。

 

そして、誰かが「会いたい」と思う人だけに人生の価値があるとは思わない。

「会いたい人に会う」「食べたいものを食べる」「きれいな自然をきれいだと思う」...

自分の人生を「生きている」だけで、その人生には価値がある。

誰かが強く「会いたい」と思ってくれなくても、私は私の人生をきちんと「生きた」。

 

私はツナグの連絡先を知らない。今はまだ調べようとも思わない。

でも、ツナグの連絡先を知りもう一度会いたいと思うとき、「後悔しているから」ではなく「会いたいから」会いたいと思えるように大切な人と過ごせるようにしたい。

今を生きていきたい。

 

感想文:インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 著:真梨幸子 出版:徳間書店

殺人鬼フジコの衝動の続編です。

前作も今作もほんまにイヤミスがすごい。

なんなら、私的には今作のほうがぞっとしたし読後感悪い。

 

私は基本的にはハッピーエンドが好きなんだけど、ミステリーに関してはイヤミスも読みます。でも、読んだ後に窓から誰かが入ってくるんではないか、とか、急に襲われるのではないか、とか、すごい色々変な妄想をしてしまう。

あと、すごい気力を使うので読み終わった後の疲労がすごい。

 

登場人物が起こす作中での事件が、えげつない内容やな、って思うのに、リアルさを同時に感じるってことが怖い。今私が安全に暮らせてるのって奇跡なのだな。

 

前作の不明点も解明されていて、これは絶対に前作を読んでからのほうがより話に入り込めると思う。

 

あー、怖かった。

 

感想文:春にして君を離れ 著:メアリ・ウェストマコット(アガサ・クリスティー) 出版:早川書房

哀しく残酷な物語。

少しネタバレになるかもしれません。

 

一人の女性が自分の今までの人生を振り返る物語。

この女性の人生で、こんなに自分のことを考える機会は二度とない、と思う。

誰しも自分の人生を振り返り、反省する。この人は今までそれをしてこなくて、自分の世界の正解しか他人と自分に認めてこなかった。

 

気が付かなければ、きっと、一生幸せ。それなら、それでよいのかもしれない。

けれど、大切な人からの愛情や信頼や尊敬は、きっと一生手に入らなくて、それにも気が付けない。そして、それはこの女性以外は全員知っている。

 

夫は、この女性と向き合い続けるべきであったのではないか。それとも、それは結婚という契約で決められた以上のことであったのか。

子どもたちは、きっと、この女性が自分たちへ一生懸命なことは理解していたと思う。だからもう、この人にはそれ以上は望まず、夢をみさせることにしたのか。

この女性が大切に思う人たちは、愛や信頼や尊敬の代わりに夢だけを与えることにしたのか。

それは、とても残酷だなと思う。だって、この女性の本当に欲しかったものは、きっと、それらであったのではないだろうかと思うからだ。

 

他人の評価は関係ない、自分の人生の成功・幸せは自分が決めていいと思う。でも、もし夫に先立たれたら、この女性は、今後の自分の人生のどこに自分の価値を見出すのだろう。

他者と比較して自分を優位に立ててきたこの女性が、どうやって、独りで生きていくのだろうか。

恐ろしいくらい、哀しい物語でした。

 

アガサ・クリスティーというから、ミステリーな要素も入るのかと思っていたけれど、ただただ女性の回想で物語が進んでいく。

全然テイストが異なっている。わくわくもしないし、誰も死なない。別名義での出版に納得できる。

でも、ページをめくる手は止まらなくて、さすがアガサ・クリスティー

自分自身を知ること、受け入れること、相手に赦してもらうこと、自分を赦すこと、今後の人生をどう生きていくのか。

これらは、昔から問われ続けていることなのだな。